その昔、「音楽を聴く=生演奏」という時代がありました。
「録音」が出来るようになり、聴きたい曲を
いつでも聴ける時代に入ったのは19世紀の後半に入ってから。
「録音物を聴いて楽しむ」という音楽との接し方は、
紀元前から始まった音楽の歴史と比べれば、
ほんの僅かな期間でしかありません。
生演奏しか存在しない時代―。
当時のピアノという楽器は、聴衆の前で演奏するのはもちろん、
各家庭で個人的に演奏することで
「音楽を聴く・流す装置」として機能していたのではないでしょうか。
新曲が発表された事を「新譜が出た」と言いますが、
新譜の”譜””って譜面の譜ですね。
後にレコード等、録音物に対しての呼び名になる訳ですが…。
レコードが発明されるまでは、
新譜を聴くためには「譜面を買ってきて、自分(もしくは家族・友人)が弾く」
しかありませんでした。
「楽器演奏」をマスター=究極の贅沢
今「音楽を聴く」手段は様々な形で存在しています。
スマホでも、PCでも…。
難易度が高く、習得するのに時間のかかる
”楽器を演奏”するという行為をわざわざしなくても、簡単に聴けてしまいます。
そんな時代に、あえて面倒な「楽器演奏」をマスターしてみる。
これって究極の贅沢かも知れません。
美味しいコーヒーの淹れ方に通じるような…。
お米の銘柄・炊き方にこだわるような…。
現在、楽器店のみならず、
家電量販店でも電子ピアノが販売されています。
最新の電子ピアノには、以前なら考えられないような
高音質の音色が搭載されています。
ヤマハ・カワイ等の国産ピアノ、スタインウェイやベーゼンドルファーの
コンサートグランドからサンプリングした音色が
10万円台で自分のものになるのですから、良い時代になったものです。
「マンションを買える位の価格」のコンサートグランドの音を、
自宅で、自分の手で演奏して楽しめるなんて、これは贅沢ですねー。
カフェレベルのコーヒーを自宅で…、それ以上の話かもしれません。
難しい曲を弾かなくてもいいんです。
好きな曲の一節が自分の手から発せられれば、かなりの満足度です。
レコードがなかった時代に思いを馳せるのもよし、
パズルでも解くように、プラモデルを完成させるような気持ちで
一曲一曲弾けるようにしていったら、楽しい生活になると思うのです。
“寝て、起きて、仕事して”の人生に、
一つ芸事が入るだけでガラッと生き方が変わると、
思い切って言ってしまいます!
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