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LESSON DIARY 2002/11/25「ピアノを習う子どもにとっての"モチベーション"とは?」

 僕のレッスンでは、生徒さん本人が選んだ"曲のレッスン"と

"バーナム・ピアノテクニックを使ったトレーニング"がある。

 

バーナムは、レッスン中に初見(譜面&僕が弾く手を真似る)・

聴音(目隠しで聴き取り)の能力を高め、「すぐ弾ける」を実現

する為に使用している。

その効果で、音感の良い・カンの良い生徒さんが多い。

 

ただ、[すぐ弾ける→OKが出る→次週は新しい課題]という

ルーティンができるうち、自ら選んだ曲の「練習をする」

習慣が消え去ってしまうのだ。

 

バーナムと違い、なかなか出来上がりに辿り着けない曲の練習

を持続するのは、レッスンで「練習してきて」と言うだけでは

困難である。

 

 

その場で多少進んだとしても、持ち帰って1週間後には現状維持か

後戻り──という事も少なくない。

 

大人になってから習う人というのは、「昔、習えなかったから」

「好きな曲を弾いてみたい」「弾き語りをしたかった」等、

ハッキリした動機があって習い始めている。

 

このような動機をベースにしているからか、家で練習する事が

苦にならず(多少は有るにせよ)やる気も長続きする傾向がある。

 

 

子供に施すような"バーナム音楽教育"は出来ないが、動機が

あるから曲はきちんと仕上がっている。

 

勿論、只でさえ飽きやすい子どもに大人と同じ動機付けは出来ないが。

 

 

 人それぞれとは思うが、自分自身の(習う側だった)過去を

振り返ってみると、「聴く人の存在」がモチベーションではないかと思う。

 

 

これは発表会とか、特別な場ではない。

もっと身近な所、 家族(特に親)に聴いてもらうことが必要だろう。

 

家で聴いてもらい、ホメてもらって自信を付け、

学校で披露しているうちに合唱の伴奏等をするようになり、

小学校を卒業する頃には立派なピアノ弾きになっている──。

 

人前で弾く快感を覚えれば、あとは勝手に弾いている。

これが子供時分の僕の姿だ。

 

 

本人が弾きたくなった時に、きちんとしたテクニック・音楽的素養は

すでに持っているのが理想。

 

そのためには多少の弊害があっても、"バーナム音楽(音感)教育"は

続けるつもりだ。

 

 

手が大きくなってからでは間に合わない事も沢山ある。